2025年10月23日(木)「第21回JNB新事業創出全国フォーラムinKYUSHU2025」にて授賞式を開催致しました。

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会(略称JNB)では、第20回ニッポン新事業創出大賞の「アントレプレナー部門」における”最優秀賞””優秀賞””特別賞”及び、”地方創生賞”の受賞者を決定しましたので、お知らせ致します。なお、今回は「支援部門」は該当なしとなりました。

審査委員会 

委員長 吉井 信隆   JNB副会長、インターウォーズ㈱ 代表取締役社長
委 員 石井 芳明     独立行政法人中小企業基盤整備機構 創業・ベンチャー支援部長
 同  各務 茂夫     開志専門職大学 学長・教授/東京大学 特命教授 
 同  黒田 達也     事業創造大学院大学 学長・教授
 同  細川 正直     税理士法人 細川総合パートナーズ 代表社員   
(五十音順)

最優秀賞

アントレプレナー部門

経済産業大臣賞
公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社GOODNEWS 代表取締役 宮本 吾一
https://gooooodnews.com/

<事業概要>
当社は「食を通じて社会課題を解決する」ことを使命に、農業・福祉・観光を融合した持続可能なまちづくりを推進しています。那須発のマルシェや「バターのいとこ」開発を通じ、未利用資源の活用や障がい者雇用に取り組み、地域課題の解決を実現。観光施設「GOODNEWS NEIGHBORS」の運営も行い、自然との共生にも配慮しています。今後は全国・海外への展開を視野に、ESG課題への対応と企業価値向上を目指します。

<受賞のポイント>
同社は「食を通じて社会課題を解決する」という明確な理念のもと、未利用資源の有効活用と地域共創を両立する革新的な事業モデルを構築している。バターやチーズ製造の副産物であったスキムミルクやホエイ、果実残渣といった未利用資源を高付加価値スイーツへと再生し、食品ロス削減と農業収益の向上を同時に実現している。さらに障がい者雇用を組み込む仕組みにより、購買がそのまま社会貢献へとつながる持続可能な循環を確立した。こうした取組の成果として、売上は2023年約2.8億円から2025年には約42億円へと飛躍的に拡大し、2027年には80億円規模を見込むなど顕著な成長を遂げている。さらに、那須・北海道における工場新設や東京・大阪・北海道、さらにはシンガポールへの店舗展開を進め、地域雇用の創出と観光振興にも大きく寄与している。経済性と社会性を高次元で統合した同社の挑戦は、地域発ブランドの新たな可能性を切り拓くものであり、経済産業大臣賞に値するものである。


アントレプレナー部門

中小企業庁長官賞
公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

合同会社シーベジタブル 共同代表 友廣 裕一
https://seaveges.com/

<事業概要>
弊社は、高知大学在学中に研究していた青のりの陸上養殖技術の事業化を目的に2016年に設立した企業です。同年、世界初となる地下海水を利用したスジアオノリの陸上栽培に成功しました。高知県室戸市の陸上養殖場では、同市が取水する海洋深層水を利用して水温を低く保つことで年間を通じた養殖が可能で、現在では全国30か所以上で障がいのある方や高齢の方々を中心に陸上栽培、海面栽培を行い、高品質な海藻の安定供給を実現しています。海水温の上昇等が原因で減少してしまった海藻を採取して研究し、環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって蘇らせ、海藻の新しい食べ方を提案していくことで、過去から受け継がれた海藻食文化を守っていくとともに、食以外の用途の可能性を広げることも目指し、国内外の多様なパートナーと協業に取り組んでいます。

<受賞のポイント>
同社は世界で初めて地下海水を用いたスジアオノリの陸上栽培に成功し、安定的な供給体制を確立した革新的企業である。高知県室戸市を拠点に、全国30か所以上で障がい者や高齢者を中心にした栽培を展開し、地域雇用と福祉にも大きく寄与している。さらに2024年には黒海苔の陸上養殖で世界初の量産(乾燥重量100㎏、板海苔3万枚相当)を実現し、今後は年間需要80億枚規模を有する巨大市場への供給拡大が期待される。売上高は直近で約57億円を計上し、2027年には120億円を見込むなど高い成長性を示している。また、百貨店催事や大手流通との取引を通じて海藻食文化の新しい可能性を提案し、国内外の多様な企業との共創プロジェクトも始動。環境変動による水産資源の減少に対応しつつ、持続可能な海藻産業の未来を切り拓く取り組みは、中小企業の先導的モデルとして中小企業庁長官賞に相応しいと評価する。


アントレプレナー部門

独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長賞
公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社Shippio 代表取締役 佐藤 孝徳
https://www.shippio.io/

<事業概要>
国際物流は社会にとって必要不可欠な業界でありながら、多くの業務が未だにアナログ手法に依存しています。
Shippioは、日本初のデジタルフォワーダーとして培った業界専門知識と、テクノロジーの力を活用し、この領域のデジタル化を推進しています。現在は祖業のフォワーディングサービスに加え、荷主と物流事業者両者に対して、デジタルソリューションを提供し、アナログなワークフローの変革を推進しております。具体的には、これまでの国際物流の業務では多くのステークホルダーが電話、メール、FAXなどを通じて、日々伝言ゲームが行われていたところを、Shippio上でやり取りを一元化し、蓄積することで、業務を効率化・データ化し、産業全体の高度化を目指しております。

<受賞のポイント>
同社は日本初のデジタルフォワーダーとして国際物流のデジタル化を牽引し、アナログ依存の業務に革新をもたらしつつある。創業以来培った物流知識とテクノロジーを融合し、荷主向けの「Shippio Cargo」、物流事業者向けの「Shippio Works」、実務オペレーションを担う「Shippio Forwarding」を展開、すでに500社以上に導入され、現場工数を50%削減するなど顕著な成果を挙げている。売上は2021年の約4.6億円から2023年には約15億円へ成長し、2027年には74億円規模を見込むなど、高い成長性とスケーラビリティを示している。また、老舗通関会社のM&Aや通関事業への参入によりプラットフォームを拡張し、産業全体の効率化・高度化に資する基盤を構築した。国際競争力の強化に直結する同社の挑戦は、我が国中小企業のDX先導モデルとして高く評価され、中小企業基盤整備機構理事長賞に相応しいと評価する。

地方創生賞

アントレプレナー部門

地方創生賞

五條メディカル株式会社 代表取締役 原田 杏子
https://gojyo-med.co.jp/

<事業概要>
私たち五條メディカルは、「大切な誰かを守るために」の理念を礎に、凍結された卵子・精子・胚・細胞など「いのちの種」を、-196℃の超低温下で安全に輸送・保管するインフラを提供しています。不妊治療やがん治療、再生医療の発展に伴い、これらの細胞を確実に守る体制が不可欠となる一方で、日本には専門性を持つ独立系事業者がほとんど存在しません。私たちは医療現場の声に応え、全国対応の品質管理体制を構築しました。この事業は命の選択肢と尊厳を守るために不可欠であり、少子高齢化が進む日本において「未来を支える社会インフラ」としての新たな価値を創出しています。

<受賞のポイント>
同社は奈良県を拠点に「凍結細胞保存」という未開拓領域に挑み、-196℃で卵子・精子・胚・細胞を安全に輸送・保管する日本初の専門インフラ事業を確立した。従来、医療機関ごとの管理に任されていたリスクを、専用容器・独自の追跡システム・温度管理体制により解消し、全国レベルで命を守る仕組みを構築している。創業当初は新型コロナワクチン輸送で地域医療を支え、その後は不妊治療や再生医療分野へと事業を拡大。売上は2020年の創業ながら3年後の2023年には2.4億円へ成長し、2027年には16億円規模を見込むなど、地方発ベンチャーとして顕著な成長を遂げている。また、地元金融機関・自治体・大学研究機関との連携を通じ、雇用創出や産学官連携の拠点として地域経済にも大きく貢献。少子高齢化社会における「命の選択肢を守る社会インフラ」を地方から発信する同社の取組は、まさに地方創生の先導モデルとして地方創生賞に相応しいと評価する。

優秀賞

アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

株式会社ABABA  代表取締役社長 久保 駿貴 https://hr.ababa.co.jp/ababa

<事業概要>
『ABABA』は就活で最終面接まで進んだ学生が、その実績をもとに企業からのスカウトを受け取れるダイレクトリクルーティングサービスです。
企業は学生の選考履歴を確認できるため、これまでの採用で用いられてきた学歴や経歴といった情報だけでは出会えなかった人材を見つけることができます。
一方、学生はこれまでどれほど駒を進めていても不採用になれば無に帰していた選考実績を評価してもらい、スカウトを受け取れます。
新卒の就職・採用活動をめぐっては、空前の売り手市場の中で採用に人員や予算を割ける企業とそうでない企業とで採用難易度の乖離が続いていて、採用未充足企業は6割にものぼります。
『ABABA』はデータに基づいたマッチング機会を提供することで、採用リソースに問わず効率的で質の高いマッチング機会を提供できます。

<受賞のポイント>
同社は、最終面接で落ちてしまった学生に対し、「最終面接まで進んだ」という就活実績をポジティブに再評価し、新たなスカウト機会を提供する革新的サービス『ABABA』を展開している。企業は選考履歴に基づき、従来出会えなかった人材を発掘でき、学生は努力の過程を次の機会につなげられる点で、双方に大きなメリットをもたらす。リリースから4年余りで累計利用は就活生10万人・企業2,300社を突破し、売上は前年比約6倍の18億円を見込む。新卒採用市場に「選考過程の循環型モデル」を実装した同社の挑戦は、雇用機会の拡大と採用効率化を同時に実現し、社会的意義と成長性を兼ね備えた事業として高く評価できる。


アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

Cloudbase株式会社 代表取締役 岩佐 晃也
https://cloudbase.co.jp/

<事業概要>
Cloudbaseは、Amazon Web Service・Microsoft Azure・Google Cloudなどのパブリッククラウドにおける設定ミスや脆弱性、異常検知など多様なクラウドセキュリティリスクを可視化し、優先度の高いリスクを明確に提示します。日本語の丁寧な対処法ドキュメントを提供し、現場の対応を支援。さらに、セキュリティ専門家が導入から運用定着まで伴走します。日本のエンタープライズ企業の情報セキュリティ部門、IT基盤部門、DX・研究開発部門などにおけるセキュリティ人材不足の解決に寄与しています。

<受賞のポイント>
同社は、クラウド利用拡大に伴うセキュリティリスクに対し、検知にとどまらず「運用定着まで伴走支援」する革新的サービスを提供している。設定ミスや脆弱性を優先度付きで提示し、日本語の丁寧な対処法を提示することで、属人化や工数負担を軽減し、企業のDX推進を後押ししている。サービス開始から約3年でARR4.15億円、導入50社以上に拡大し、スズキやTOPPAN等の大手企業にも採用されるなど、成長性と実効性を兼備。人材不足が深刻なセキュリティ分野で、新たな産業基盤を形成した点が高く評価できる。


アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

株式会社XEN GROUP 代表取締役 高畑 洋輔
https://xen-group.com

<事業概要>
現在、食品の保存は冷蔵・冷凍が主流であるが、フードサプライチェーンでは品質劣化、環境負荷、エネルギー消費の多さ、人手不足など多くの課題を抱えている。弊社が開発した新技術「Water Stability System」は、食品内部の水分を安定させ、品質維持を省エネで実現する、全く新しい保存技術である。本技術は、食品廃棄を削減しフードロス問題に貢献するとともに、過剰な冷却・急速冷凍が不要となることで作業工程の最適化とエネルギーコストの低減を可能にする。また、労働力不足が深刻化する国内の生産現場や、海外輸送による品質劣化の課題にも対応できるため、国内外のフードバリューチェーンの持続可能性向上に寄与する。弊社はこの技術により、地球規模での資源効率向上と循環型社会の実現を目指す。

<受賞のポイント>
同社は、食品保存に革新をもたらす独自技術「Water Stability System」を開発し、冷蔵・冷凍に依存せず品質維持と省エネを両立する新たな仕組みを実用化した。既に精肉店・寿司店・外食チェーンなどに30台を納入し、食品ロス削減や生産性向上、コスト安定化などの成果を挙げている。売上は2022年22億円から2024年26億円へと着実に成長し、今後はEU進出を予定するなど国際展開も視野に入れている。持続可能なフードサプライチェーンを構築し、世界的な食料問題解決と脱炭素社会の実現に寄与する姿勢が高く評価できる。

特別賞

アントレプレナー部門

特別賞   

キリシマ精工株式会社 代表取締役 西重 潤一
https://kirishima-seiko.jp/

<事業概要>
・創業以来、難削金属材の微細精密加工というニッチ分野に特化し、自社開発工法『カーブカット工法』を開発した。技術革新を追求しながら高精度、高難易度の加工を実現してきたノウハウ、技術力を応用し、手術支援ロボット用部品「BLOCK-J」をはじめとした部品の製造を行う。
・極めて厳しい基準が要求される新分野の医療器具製造に進出し、更なる販路拡大を目指す中、当社の技術力に東証プライム市場上場の医療機器メーカーが着目された。新たに製造する手術支援ロボットの各種部品の製造パートナーを探している中で、当該メーカーの既存加工先では対応できないレベルの製品であった。開発当初から「協働型助手ロボット」ANSURの製造に関ることで、今後大きな需要が期待されている新分野の医療器具製造分野に本格的に進出できた。

<受賞のポイント>
同社は、難削材の精密加工技術を強みに、自社開発「カーブカット工法」を応用し、手術支援ロボット用部品の製造に成功した。公差10ミクロン以内の超精密加工による部品は既に国立がん研究センター等で使用され、医療現場に貢献している。地域中小企業ながら高難度医療分野への参入を果たし、人命を支える技術基盤を築いた点が高く評価され、特別賞に値する。


アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社SOXAI 取締役副社長CFO 光賴 篤樹
https://soxai.co.jp

<事業概要>
当該新事業は、日本発の指輪型ウェアラブルデバイス(スマートリング)『SOXAI RING 1』の開発・販売です。小型・軽量設計による高い装着感と、光学バイタルセンサー、温度センサー、加速度センサー等を搭載した高精度なデータ取得が特長です。指に装着するだけで、心拍数、心拍変動、血中酸素、体表面温度、活動量などをストレスなく計測し、独自アルゴリズムで睡眠・ストレス・活動状態をスコア化。データはモバイルアプリ上でリアルタイムに確認でき、生活の質(QoL)の向上を支援します。AIがスコアに応じて生活習慣改善のアドバイスを提示することで、身近なコンディショントレーナーとして健康の維持・増進をサポートします。

<受賞のポイント>
同社は、指輪型ウェアラブル「SOXAI RING」を開発し、心拍数・血中酸素・睡眠状態など50項目以上を医療機器並みの精度で計測可能とした。軽量・防水で24時間装着できる利便性を備え、既に累計4万個を販売するなど市場に浸透している。急成長するヘルスケア市場において、身近な健康管理を可能にした革新性と普及実績は高く評価でき、特別賞に値する。


アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社トラジェクトリー 代表取締役社長 小関 賢次 https://www.trajectory.jp/

<事業概要>
空のデジタルライフラインとして、上空150メートル圏内にドローン航路を整備していく事に取り組んでおります。
ドローン航路とは、無人航空機(ドローン等)が行き来できる空路のことで、弊社はドローンの自動化(無人離発着等)やシステム化された航路の作成を提供しており、次世代の社会インフラ基盤を担っていく仕組みの構築に日夜努めております。
令和7年3月には、世界初のドローン航路を天竜川上空に開通し運用開始しまして、医療品等の物流サービスとして社会実装の本格化を進めている最中です。今後は全国にドローン航路を拡大すべく、2027年には日本全国で1万キロのドローン航路整備を目指し事業拡大してまいります。

<受賞のポイント>
同社は、上空150メートル圏にドローン航路を整備する「空のデジタルライフライン」事業を推進し、まず天竜川上空でのドローン航路開通・運用を実現した。医療品配送など社会実装を進めつつ、AI管制プラットフォームで複数ドローンの運行を安全に管理することを可能にした。さらに他の複数地域の自治体との契約も進んでおり、物流効率化や過疎地支援など多様な社会課題の解決に資する先進性が評価され、特別賞に値する。