2024年11月7日(木)「第20回JNB新事業創出全国フォーラムin新潟」にて授賞式を開催致しました。

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会(略称JNB)では、第19回ニッポン新事業創出大賞の「アントレプレナー部門」における”最優秀賞””優秀賞””特別賞”及び、”地方創生賞”の受賞者を決定しましたので、お知らせ致します。なお、今回は「支援部門」は該当なしとなりました。

◆ 審査委員会 ◆ 

委員長 長谷川 博和  JNB副会長、早稲田商学学術院ビジネススクール教授
委 員 各務 茂夫     一般社団法人日本ベンチャー学会会長 / 東京大学 大学院工学系研究科 教授 / 産学協創推進本部 副本部長
 同  黒田 達也     事業創造大学院大学 副学長 
 同  細川 正直     税理士法人 細川総合パートナーズ 代表社員   
 同  吉井 信隆     JNB副会長、インターウォーズ㈱ 代表取締役社長
(五十音順)

最優秀賞

アントレプレナー部門

経済産業大臣賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社ティ・ディ・シー 代表取締役社長 赤羽 優子 https://mirror-polish.com

<事業概要>

当社は精密加工のグローバルニッチトップ企業として、世界19か国で精密加工の受託加工を展開している。次世代半導体や量子コンピュータ、宇宙開発、核融合などの先端研究を下支えしており、JAXAやNASA、フランスの核融合研究所ITER、アメリカSLACが南極に設置しているBICEP3望遠鏡などの先端研究機関などにも納入実績があり、その品質評価に次世代放射光施設ナノテラスを用いるなど先進的取り組みを行っている。また営業手法も革新しウェブを有効に活用したマーケティングとブランディングにより顧客から問い合わせが寄せられる仕組みを構築したことで国内外に販路開拓を行っている。世界中の先端領域の研究者から寄せられる課題に対して自社独自に装置開発や技術開発をすることで新技術を創造し課題解決に貢献している。

<受賞のポイント>

ナノオーダーの精度を実現する超精密加工サービスのグローバルニッチトップ企業として、世界19か国で精密加工の受託加工を展開している。次世代半導体や量子コンピュータ、宇宙開発、核融合などの先端研究を下支えしており、JAXAやNASA、フランスの核融合研究所ITER、アメリカSLACが南極に設置しているBICEP3望遠鏡などの先端研究機関などにも納入実績がある。

赤羽優子社長は3代目として就任以来、社内の役職や上下関係を廃したフラットな組織構造への変革を行い、業務効率化や開発力と生産性の向上、働きやすい環境の整備、働き甲斐、収入の向上から、離職率ゼロを実現している。地方に拠点を持つ中小企業がグローバルニッチ技術をもとに世界へ飛躍するとともに、ファミリー企業としても事業承継成功事例として高く評価する。経済産業大臣賞として妥当である。

アントレプレナー部門

中小企業庁長官賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社KBKマテリアルソリューションズ 代表取締役 佐古 さや香

<事業概要>

半導体の製造プロセスにおいて、ウェハ周辺の治具として、その化学的特性によりSiC(炭化ケイ素)部材が使われているが、製造過程で繰り返し使用されることで、これらの部材は消耗して、廃棄される状況となっている。
当社ではCVD法を用いてSiC部材の製造を行ってきていたが、さらに研究開発を進め、消耗された使用済みSiC部材へ再生CVDを行うことにより、新品同様の状態に戻すことを可能とした。
これらの技術を半導体メーカとも提携し、リサイクル体制を構築している。

<受賞のポイント>

岡山県にて機械部品の溶射、表面処理加工などを行う倉敷ボーリング機工株式会社の新規事業が分離、設立された企業である。独自開発した技術により、ガス炉を用い、SiC製フォーカスリングの再生品製造を行う。半導体の微細化が進むなか、エッチングとその前工程であるフォトリソグラフィーの技術的基盤を担っている。従来、廃棄されていた使用済フォーカスリングが、廃棄物となることなく、当社の半導体メーカーとの共同開発のなかで、再生され、また使われることを繰り返していく、このビジネスモデルこそ、まさに今後の社会に求められる経済モデルである。

佐古さや香社長は3代目として事業承継した企業を継続するだけでなく、高い技術力を応用して新たな会社を分離、設立するなど、経営手腕は高い。中小企業の発展、経営革新のモデルであり、中小企業庁長官賞として妥当である。

アントレプレナー部門

独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社meleap 代表取締役 福田浩士 https://meleap.com/

<事業概要>

弊社事業はライブエンターテインメント(LE事業)、ロケーションベースエンターテインメント(LBE事業)の2つの事業があります。
LBE事業はARスポーツHADOをB2BでライセンスするB2B型のビジネスモデルです。
LE事業はARスポーツHADOのプロリーグでインフルエンサー・アイドルがプレーヤーになり、視聴者・課金ユーザーが推しをパワーアップさせるB2C型のビジネスモデルです。

<受賞のポイント>

ARスポーツである「HADO」を世界39カ国300コート以上に拡大し累計600万プレーヤーを擁するまでに育て上げた企業である。このスポーツは年齢層も幅広く、国を超えてプレーでき、また応援したくなる仕組みも考えられている。全く新しい市場を世界的規模で展開できる可能性を秘めた会社である。

福田浩士社長は東京大学大学院、リクルートを経て27歳の時に当社を創業したアントレプレナーであり、今後の成長が期待できる。中小企業基盤整備機構理事長賞として妥当である。

地方創生賞

アントレプレナー部門

地方創生賞

株式会社パンクチュアル 代表取締役 守時健 https://punctual.co.jp/

<事業概要>

主にふるさと納税の業務を市町村から受託し、市役所に代わり事業者を社員が訪問し返礼品の開発とマーケティングを行っています。「地域産品をどのようにPR販売すればいいかわからない」ことが地方が掲げる課題です。

<受賞のポイント>

ふるさと納税事業、EC事業、キャラクター事業を手掛ける。現在全国19拠点に展開し、地方創生を真にバックアップしている。一般のふるさと納税代行と異なり、それぞれの地方自治体に営業所を設置、社員が移住しその地域住民となり、頻繁に事業者を訪問することで事業者の信頼を勝ち取り、競合他社にはできないスピードで地域の寄付額を伸ばしている。ご当地キャラクターなども開発している。

守時健社長は元高知県須崎市役所職員であり、その時に感じた問題点を解決すべく会社を設立した。行動力もあり、実績を伸ばしている。地方創生賞が妥当である。

優秀賞

アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

アグベル株式会社  代表取締役 丸山 桂佑 https://agbell.co.jp/

<事業概要>

生産規模を事業継承時から30倍以上スケールし、既存のJAや市場流通に一切頼らず全て自社で販売を行い、うち50%をアジアマーケットへ輸出を行っている。
果樹産業は日本において個人事業家族経営がほとんどであり、その中で法人経営は全体の2%と言われている。※出典:公益財団法人「令和3年度果樹農業生産構造分析調査報告書」
その中で法人経営体として農業をビジネスとして組織で経営している。
また、地域の生産者からの全量買い取りの仕組みや直接販売を実現可能にしている自社選果場を運営。DX化された農業生産管理と平均年齢29歳という業界においては随一の若さの企業。

<受賞のポイント>

耕作放棄地を借り受け、ぶどう畑へと再生して生産規模を拡大している。生産地は山梨だけにとどまらず、茨城県、北海道と広げ、生食用ぶどうの一社あたりの生産規模は国内トップ規模へと成長した。生産したぶどうは自ら運営する選果場をへて、国内およびアジアを中心とする海外に直接輸出している。

丸山桂佑社長は現在31歳と若いが、新規就農者の育成支援も行い業界の若返りを目指すなど、情熱的である(当社の平均年齢は29歳と業界では非常に若い)。農業のDX化にも取り組み、これからの農業における新成長モデルといえよう。優秀賞が妥当である。

アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

株式会社ネフテック 代表取締役 中川 隆夫 http://www.neftec.co.jp/

<事業概要>

独自技術のカーボン系耐熱材料であるCarbon/Carbon(以後C/C)コンポジット材料の開発、製造販売。原材料の混合→炭化工程→焼成工程→切削加工→製品化まで自社一貫工程にて製造。外部機関連携による製品開発、良好な海外販売パートナーからの支援により販路確保及びフィードバック吸上げ等、開発改良に専念可能な体制を構築。販売先は国内9%、海外91%と輸出中心であり、地域別では欧米55%、アジア30%、韓国6%。当社製品は強度性、弾力性に優れた機能を有しており、従来の代表的なセラミック、金属素材等に対して軽量、耐熱性、伝導性に優位性を持つ。ターゲット市場は太陽電池パネル、液晶・有機ELパネル、半導体製造であり、宇宙工学分野においても高い注目を集めている。近年では2m超四方の大型プレートの開発にも成功、供給体制の確立に尽力している。

<受賞のポイント>

独自技術のカーボン系耐熱材料であるCarbon/Carbonコンポジット材料の開発、製造販売をしている。当社の炭素複合材加工技術は社長が平成2年より東京大学と共同開発した技術であり、現在も日本工業大学との協力体制の元で開発改良を行う。従来法と比較し、「焼成」や「含侵」といった工程数を短縮し、短時間生産、製造コスト削減に寄与している。ターゲット市場である太陽電池、有機ELパネル業界、半導体業界においてはデバイスの大型化、大量生産によるコスト削減が求められており、当社製品も既にヨーロッパ、アジア企業向けに納入が増加している。

中川隆夫社長は現在70歳であるが、一貫して独自の技術開発に拘ってきた。東京大学、日本工業大学とも共同で技術開発を行っている。今後、日本の中小企業が世界の炭素複合材料開発・製造の中核を担う可能性を秘めているといえよう。  優秀賞が妥当である。

特別賞

アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社エマルションフローテクノロジーズ 代表取締役社長 鈴木 裕士

https://emulsion-flow.tech/

<事業概要>

日本原子力研究開発機構が開発した革新的溶媒抽出技術「エマルションフロー」を都市鉱山で活用するという発想で、リチウムイオン電池などに含まれるレアメタルを低コストかつ低環境負荷で高純度に回収する技術を確立し、回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用する「水平リサイクル」の事業化を目指しています(資源循環事業)。また、創業以来培ってきた革新的な技術の水平展開として、当社事業を環境ソリューションにも拡げ、レアメタルの分離回収だけでなく、工場排水に含まれる油分やPFASといった環境汚染物質の分離回収にも活用することで(環境ソリューション事業)、資源循環と環境保全の両立と調和を実現する社会作りに貢献しています。

<受賞のポイント>

日本原子力研究開発機構が開発した革新的溶媒抽出技術「エマルションフロー」を都市鉱山で活用するという発想で、リチウムイオン電池などに含まれるレアメタルを低コストかつ低環境負荷で高純度に回収する技術を確立した。その回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用する「水平リサイクル」の事業化を目指している。開発・試作段階が終わり、今後、事業化フェーズに入っていこう。

鈴木裕士社長は日本原子力研究所、日本原子力研究開発機構を経て当社を2021年に創業している。高い技術力をもとにレアメタルリサイクルを社会に根付かせることが期待される。特別賞が妥当である。

アントレプレナー部門

特別賞   

Guidable株式会社 代表取締役/CEO 田邉 政喜 https://guidable.co.jp/

<事業概要>

Guidable Jobs は214ヵ国22万人の登録者をもつ外国人特化型求人サイトです。永住者など在留外国人の転職採用、留学生のアルバイト採用、国外からの受入も含め、業界・雇用形態問わず企業様の支援が可能。初めての企業様でも安心な面接代行つきプランと月間平均15 応募獲得するマーケティング力により他にはない実績を出し、現在累計利用企業社数 3,000 社突破。毎月8,000 人の新規登録者を獲得。

<受賞のポイント>

214ヵ国22万人の登録者をもつ外国人特化型求人サイトを運営している。永住者など在留外国人、留学生に特化していることが特徴。AIやビッグデータ分析を駆使した求人マッチングシステムを導入し、求職者と企業のニーズを高精度でマッチングさせていることも評価する。

田邉政喜社長は日本がこれからますます少子高齢化が進む中、外国人労働者の活躍を促進することに情熱を持っている。特別賞が妥当である。

アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社SQUEEZE 代表取締役CEO 舘林 真一 https://squeeze-inc.co.jp/

<事業概要>

宿泊業界のDXを実現し、収益率の高いホテル運営を実現しております。
キャッシュレス、ペーパレス、キーレスを実現し、チェックインなどの業務もクラウドコンシェルジュにより遠隔で、24時間365日多言語での応対が可能です。
これらのソリューションを活用したホテル運営を自社で行うだけでなく、ホテル運営システムやクラウドコンシェルジュを外販することにより、幅広い顧客にソリューションを提供しています。

<受賞のポイント>

宿泊施設の省人化オペレーションを可能にするクラウド宿泊運営システム「suitebook」を展開している。業務が属人化しがちなホテル運営において、テクノロジーやクラウドコンシェルジュの活用により、遠隔からの集中管理や損益分岐点の引き下げが可能となる。当社のソリューションの新規性、革新性を支持するホテルオーナーも増え、2022年には10棟、2023年には9棟のスマートホテルを開業している。宿泊業の人手不足の解消だけでなく、働く人が場所にとらわれず就業できる機会を提供しており、高く評価する。特別賞が妥当である。

アントレプレナー部門

特別賞   

メトロウェザー株式会社 代表取締役 古本 淳一 https://www.metroweather.jp

<事業概要>

ドローン等の本格的な商用化においては、気象情報を常時的確に判断し、事故が起こり得ると想定される気象条件の時は運航を中止すること、サービスレベルを維持するために安全に飛行できるルートや高度を選択し、多少の悪天候下においても安全かつ安定運航を行うことが求められる。弊社は、このようなニーズに対して、ドップラー・ライダーを活用することで、ドローンポート周辺、飛行ルート上、ビルが林立する都市部のビル風や海上のダイレクトな観測・可視化を実現することが可能となる。ドローンや小型無人航空機のオペレーターや運航管理者が運航可否を判断できる情報を包括的なサービスとして顧客に提供したいと考えている。また、船舶への搭載による運航航路の選定を行うことで、船上での燃費削減等のエコシップにも寄与することが期待されている。

<受賞のポイント>

京都大学での研究成果であるリモートセンシング技術とデータから微弱な信号を抽出する信号処理技術をコア技術とし、低高度の風情報を3次元で高精度に測定する小型高性能ドップラー・ライダーを開発している。風力発電や空港向け機器、船舶運航航路機器、ドローンなどの高度化によって、今後、採用が進んでいく可能性がある。特に船舶運航航路機器では最大20%程度の燃費向上、CO2排出削減につながっている。NEDOやNASA SBIR プログラムなどにも採択されている。特別賞が妥当である。